HTCがGoogle公式タブレット「Nexus 9」を11月下旬に発売するそうです。
【参考リンク】HTC、Android 5.0搭載「Nexus 9」を11月下旬から国内販売 ~Wi-FiとLTEモデル – PC Watch
Amazonでは早くも予約受付が開始。
【参考リンク】日本AmazonでGoogle Nexus 9、2014年10月18日(土)午前2時00分から予約開始予定
スペックと価格
スペックは
- Android 5.0
- 2,048×1,536ドット8.9型IPS液晶(Gorilla Glass 3)
- NVIDIA Tegra K1
- メモリ2GB
- ストレージ16GBまたは32GB
なかなかイイ感じのスペックです。
ところが気になる価格を見てみると、
- 16GBのWi-Fiモデルが39,900円前後
- 32GBのWi-Fiモデルが45,900円前後
- 32GBのLTE対応モデルが59,900円前後
LTE版はWi-fi版と比べて14,000円も高い価格となっています。
なぜLTEタブレットのほうが高いのか?
この製品に限らず、一般的に通信モジュールを搭載しているタブレットやノートパソコンの場合、wifiしか使えないモデルよりもLTEが使えるモデルのほうが値段が高いですね。
「Wi-fiモデルじゃ家や会社じゃないと基本的に使えないじゃん! LTE版でMVNOのSIMを挿して使えば最強なのに!」
・・・と思ったことありませんか?
私はいつもそう思って地団駄踏んでいます。
価格差が小さければいいのですが、けっこう気になるほど大きい価格差があるのが常です。格安SIMを使ってどこでもネットしたいという欲求を見越して、足元を見た値付けをしてるんじゃないか?と思ってしまうほどです。
価格の根拠を調べてみた
どうしてこんなにLTE版は高いのか? 通信チップ部品なんて数百円程度の値段なんじゃないの!? と思って、ちょっと調べてみました。
ちょっと古いですが、2013年6月に書かれた次のような記事を見つけました。
【参考リンク】低価格LTEチップで、Qualcommに挑む新興企業 – EE Times Japan
これによりますと、
Altair Semiconductorは、(中略)無線LAN通信機能に対抗すべく、2013年をめどにLTEの低コスト化を目指す
なるほど、「低コスト化を目指す」ということは、LTEの部品は、無線LAN(wi-fi)機能を実現する部品よりもかなり高価だということですね。
LTEモジュールは15倍以上も高価だった
では、どのくらい高価なのかといいますと、
Altairの(中略)Eran Eshed氏は、「LTEを無線LAN並みにコストダウンすることを目標としている。現在、無線LANを機器に搭載するためのコストは約10米ドルだが、LTEの場合は約150~200米ドルもかかる
とのこと。なんと無線LAN(Wi-Fi)用モジュールは10ドル(約1,000円)と安価で、LTE用モジュールは150~200ドル(約15,000円~20,000円)という高価な部品でありました。実に15倍以上もの価格差です。
このコスト差を見ますと、いままで見てきた各社タブレットのLTE版がWi-fi版よりも1万円以上も高値であることにピッタリ合点がいきます。部品が高価だから製品も高価になるという理由だったのですね。LTEモジュールがこんなにも高価だとは予想外でしたので驚きでした。
現在の単価はいくら?
Altair Semiconductorに関する上記記事よりも1年4ヶ月経った現在ではもう少し価格が下がっているのではないかと思い、試しにalibaba.comで少し調べてみました。alibaba.comというのは、中国のBtoBサイトで、卸売り向けのeBayみたいなところです。最近上場したことで株主のソフトバンク(孫正義)が大儲けしたことで話題になりましたね。
【参考リンク】ソフトバンク、利益5000億円計上へ アリババ上場で:日本経済新聞
このalibaba.comで「LTE モジュール」で検索するとズラッとサプライヤーの出品一覧が出てきます。基本的に卸売り用であり、ロット単位でしか購入できないし価格も「交渉にて」みたいな感じで表記されています。
Alibabaでは一つ8,000円
それでも1ピース単位で売っているところがわずかにありまして、それを見ますと「4G LTE」のモジュールが一つあたり80ドル程度とのことです。
【参考リンク】zte 4g lte モジュールワイヤレスモジュールme3760-japanese.alibaba.com
これを1万個とかのロット単位で買えば、一つあたりの単価はもっと下がるでしょう。私はこの業界に詳しくありませんのでどれくらい安くなるか分かりませんが、たとえば一つ50ドル(およそ5,000円)くらいだと仮定します。すると2013年6月の時点で「約150~200米ドル」であったものが、およそ1年半でだいぶ安くなったと言えそうですね。
Nexus9は相変わらずLTE版が高すぎる
そう考えますと、冒頭に挙げたNexus9のLTE版はちょっと高すぎるのかなぁ?とも思います。LTEモジュールのコストが下がってるのだから、製品に転嫁される部分ももうちょっと圧縮してほしいところです。
モジュール価格が150ドル以上だった時点なら、wi-fi版よりもLTE版のほうが15,000円以上高くなるのは理解できます。しかしモジュール価格が50ドルくらい(またはもっともっと安い?)になった現在、14,000円の価格差はちょっと大きいかなと個人的には感じています。まあGoogle様からの要求が厳しいのかもしれませんが・・・。
逆にNexus7などの旧モデルはこれで安くなるでしょうから、狙い目かもしれません。そういえばNexus7はASUS製でしたが、Nexus9はHTCが製造担当なんですね。
【参考リンク】日本AmazonでGoogle Nexus 9、2014年10月18日(土)午前2時00分から予約開始予定
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