不気味の谷。
ロボットやCGイラストなどで人間そっくりなものを作ると、人間に近づけば近付くほど気味が悪いと感じる現象の事です。
AI臭い文章
最近、AIに長文の文章を生成させるテストをしていて、文章にも不気味の谷が存在するのでは?と思っています。AI(LLM)が生成した文章をパッと見ただけで、「なんか変だな・なんか気持ち悪いな」と違和感を感じるのです。AI臭い、と言ってもいい。
部分部分を見ると、文法も合っているし、非常に自然な文章に見える。全体を見ても、整合性があり、どんなテーマの文章を依頼してもそつなく書けています。パッと見は、人間が書いた普通の文章のように見える。
しかし。
なんか気持ち悪いというか、読んでいてもぜんぜん頭に入ってこないのです。
読めるのに、読めないというか。読みやすいのに、読みにくいというか。何かを言っているようで、何も言っていないというか。血が通ってない感じがするというか。読む気が失せる文章というか。言語化が難しいのですが、まさに「文章における不気味の谷」と表現するとしっくり来る感じ。
あと、内容ではなく純粋に見た目のことで言うと、AIが書いた文章はルックスにも特徴がある。なんか「黒い」んです。黒い。漢字の使用割合が多いのと、段落分けや改行が少なくて文末までみっちり文字を詰め込む癖があるというか。だから画面全体が黒っぽく見える。これはChatGPT・Claudeどちらも似ている。
内容的にもルックス的にも、AIが書いた文章には余白や遊びが少ない感じがします。
やっぱりAIより人間!…か?
そうなってくると、「やっぱりAIは人間の仕事を代替できない」とか、「AIでは感情の機微までは表現できない」とか言いたくなります。
しかし、ここ1~2年のAIの驚異的な進化スピードを見る限り、近い将来にこの「文章における不気味の谷」も超えてくると私は予想しています。おそらく12ヶ月以内に、もっと自然な文章を書けるようになるでしょう。それはすなわち、「AIが書いたのか人間が書いたのか、まったく見分けがつかない」レベルです。
チューリング・テストどころではありません。すごい時代になりました。あらゆる専門職(特にホワイトワーカー)が今後急速にAIに置き換わっていくでしょう。
エッセンシャル・ワークは今のところAIだけでは代替不可能
逆にエッセンシャル・ワークはAIだけではどうにもならずに物理的なハードウェアが必要になります。物理面を担うロボットの進化がまだまだなので、これらの仕事はまだ少なくとも向こう10年~20年くらいは人間が担うことになるでしょう。簡単に言えば「エッセンシャル・ワークなら食いっぱぐれがない」とも言えそう。
エッセンシャル・ワークとは、たとえば医療、介護、福祉、農業・食料生産、保育、運輸・物流、インフラ系・公共機関などです。
ただし、現状ではエッセンシャル・ワークの多くは低賃金・重労働であることが多い。これに加えて、AIによって駆逐された他の職種からの転職組も参入してきたら、さらに低賃金を強いられるような怖い予測も成り立ちます。技術進歩や市場原理だけに任せていると弱肉強食の荒んだ世界になりそう。
そういった事態を防ぐため、人類史において倫理や政治などが新たなステージを迎えている気がします。
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