簡単にネットショップが開設できて、しかも決済手段(クレジット等)まで付いているという便利なBASEというWebサービス。
私も試しに1年半以上前にショップを作りました。しかし当時の使い勝手やデザイン等がイマイチだったため、作ってすぐに放置状態に。(※現在はたぶんいろいろ進化しているだろうと思います)
ヤフオク販売用に仕入れていたある商品をBASEで開設したショップにも置いてみましたところ、一切何の宣伝もせずに売れたのは・・・「1つ」でした。ショップへの導線を何も作らずにいたので当然の結果なのですが、どうして一つだけ売れたのかといえば、BASEが提携(?)しているアフィリエイト広告みたいなものがあるらしく、なぜかモバオク決済で売れていました。
いつのまにか特商法表記が義務化
さてそれはともかく、ずっと放置していたBASEに最近久しぶりにログインしてみました。そこで表示されたのがこの文言。
「特定商取引法に関する表記」の登録が完了しておりません。
・・・という警告表示。あれ? 以前はそんなの要求されなかったのに、いつのまにか変更になったようです。久しくログインしていなかったので、いつから表記されたのかはわかりません。これに伴い、出品物も強制的に「非公開」となって販売できない状態になっておりました。
BASE公式サイトの見解
一応BASE公式で どうして記入する必要があるの?ネットショップにおける特定商取引法の重要性とは という記事がありました。でもこれを読むと、どうにも歯切れが悪い書き方。この記事から以下に引用します。
建前?
多く頂くご質問の一つに「特定商取引法に基づく表記を記入しなくてもいいですか?」というものがあります
特定商取引法について簡単に説明すると、それは商品の売買において弱い立場にたつ購入者を守り、また販売者を明示することで商品の流通や提供を明確化していくためのもの
ユーザーから多く寄せられる特商法の記載に関する質問について、「購入者を保護するための法律だから、守ってね~」という主旨の「建前」が記載されています。これは当然と言えば当然の内容で、世間一般的にも理解されているであろう建前論です。
本音?
しかし一方で、
氏名や番号は省略してもいいの?(中略)省略はできるとのこと
正直なところ、法律で定まっているといっても、これを守らなくても課せられる罰則は存在しない
というように、「本音」が透けて見えます。
これは、よりたくさんのショップをガンガン開設してほしいBASEとしての本音でもあるし、ショップを開設する側のユーザー(特に善良な個人)の本音でもあるでしょう。
別に悪いことをしようとしてなくても、やっぱり個人が住所氏名などを公開するのには大きな抵抗があるはずですからね。変な人に粘着されたら怖いですし。女性などは特に心理的にも物理的にも個人情報の公開は嫌でしょうね。
歯切れの悪い結論
さてBASE側の結論としては、
「特定商取引法に関する表記」について(中略)省略するか?しないか?の部分が気になるところかと思いますが、省略できるとしても、お客様の立場にたって考えるとしっかりと記入をすべきかと思います
となっています。
建前と本音を織り交ぜたあと、実に曖昧な表現で建前に近い結論を述べる。語尾などにも曖昧さ、本音との葛藤が垣間見えます。しかし企業としてはこういう落とし所にするしかないであろうことは、想像に難くありません。現状ではこのように言うしかありませんからね。
そもそも特定商取引法って意味あるの?
ここからは私の個人的な持論になります。
そもそも特商法の記載で、消費者保護になるのだろうか? 私はならないと思います。理由は次の通り。
- 犯罪者、悪い人間はそもそもそんなルールは守らない
- ルールを守ったフリ(嘘の情報を書く)をするのも簡単
- 守らなくても罰則が無い
こんな抜け穴だらけの法律。律儀に守った人だけが個人情報を無防備にさらけ出して、損するだけだと思います。正直者が馬鹿を見る典型例ですね。
ヤフオクみたいにしたらどうか?
じゃあどうしたらいいか、という対策の提案です。ヤフオクみたいに、仲介サイト(今回の例で言えばBASE)が出品者の個人確認をした場合だけショップ開設を認めればいいのではないでしょうか。
たとえば、クレカ認証と住所認証(本人確認郵便など)を通過した人だけショップを開設できる。ショップは個人情報をWEB上に公開しなくても良いが、ショップで買い物をする消費者は、何か問題があった場合には仲介サイト側に情報照会ができるようにする。これでいいのでは?
現状ヤフオクでは売買トラブル等の仲介・仲裁はあまり積極的にやってくれないようです。そのことを不満に思っている意見もネットでよく見かけますね。だから、その部分を積極的にやるだけで、ショップ側ユーザー・買い物側ユーザーの双方の大きな信頼を得られると思うのですが、BASEさんいかがでしょうか?
特商法自体がネット時代に合っていないのでは
特商法という法律自体も、現状に合わせてそっち方向にシフトして改正したほうがいいと思います。膨大なショップ一つ一つにいろいろなリスクのある義務を課すのではなくて、前述したように中間認証業者みたいなものを挟むことを義務化するほうが効率的だし、販売者・購入者双方とも安心安全ではないでしょうか。(もちろん新たな天下り団体や利権化につながらないような仕組みが必要ですが)
金儲け=悪、という前提が原因?
個人が簡単かつ安心してマイクロビジネスを始められる環境があれば、経済ももっと良くなると個人的には思っています。これまでの法律や世間の理解は「金儲け=悪」、「ビジネス=憎たらしい」みたいな前提があまりにも強すぎるような気がします。
ですが自分で零細ビジネスをやったことがある人は、ビジネスを始めてもほとんどが失敗・赤字の連続であり、金儲けとは程遠いことは良く知っていることでしょう。だからこそ小さなリスクで何度も挑戦したいところ。それなのに、いきなり個人情報公開を強制されるような「比較的大きいリスク」を背負わなければならない現在の法律や世間の視線がある。そのせいで、どうしても最初の一歩を踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
正直者が救われる社会へ
誤解の無いように申し添えておきますが、「法律など守らなくていい」とか「犯罪者が悪いことをやりやすい環境にしろ」などと主張しているのではありません。前述したように、現在のシステムでは「悪いヤツは悪いことやりたい放題で、真面目な人だけ無意味にリスクを強制される仕組み」になっている。それは日本にとって良いことなのだろうか?という問題提起です。
正直者がバカを見るのではなく、正直者が報われる。そんな社会になったら素敵ですよね。
BASEの話から法律そのものやビジネス・経済全体への話に大きく広がってしまいましたが、あなたはどうお考えでしょうか?
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