オリンパスの防水カメラTG-860を購入、初発の感想レビュー

カメラ

普段はEOS 6DとRX100で撮影しています。

しかしどちらも液晶が固定なため、自撮りや特殊なアングルでの撮影が難しい。
さらに画角も広角側がかなりキツイ。

自撮りなんかしないわ・・・と思ってたんですが、小さい子供がいると意外と必要。
子供を膝に乗せて片手で自撮りとか。

そんなとき、スマホのインカメラだと画質がひどいしシャッターラグなど操作性も最悪。

一眼で自撮りはデカいし重いので基本無理。6Dは広角ズームなんかつけたら片手で持てないしそもそも自撮りなんか一眼でやるのは狂気の沙汰。

RX100では液晶が動かないうえに広角が28mmスタートなので画角に上手く収めて自撮り撮影するのが困難。

そういうわけで、次の条件を満たすカメラを探しました。

  • コンデジのサイズ
  • 液晶が180度動く(自撮り側に)
  • 広角ができるだけ広い

この条件で探したところ、オリンパスのTG-860 Toughが該当しました。
人生で初めてオリンパス製品を買ってみました。

オレンジ色を購入。

TG-860 Toughの良い点・長所

この手のアウトドア用のカメラはもともと眼中になかったのですが、実は今回の自分が希望する要件に合致する要素が満載でした。

片手で持てるコンデジ

当たり前ですがいわゆるコンデジなので、片手で楽々持てるサイズ・軽さです。
RX100と比べるとボディの長辺が長く、部分的に厚みもあります。しかしレンズの飛び出しがないため、フラットに近いのでコンパクト感はあります。

液晶が自分側に動く

片方だけに180度動きます。
カメラの上下を逆さまにしても、液晶の天地表示は正しく修正されます。

カメラ前面にもシャッターボタンがある

これはすごい発明(?)で、カメラの前面にフェイス・ボタンと呼ばれるボタンがあります。いわば「自撮り専用シャッター」で、これのおかげで液晶を自分側に向けたときでも撮影しやすくなっています。

広角が驚異の21mmスタート

これは凄いです。
35mmフルサイズ換算で21mmというかなり広角なレンズが使えます。

自撮り時はもちろん、このカメラのメイン用途であるアウトドア(特に海中・水中)などでは広角側が広いことは大事でしょう。

普通、コンデジ界ではせいぜい24mmからのスタートが普通です。
今のところ、21mmなんてこのカメラ以外にはありません。
広角において3mmの違いは相当大きいです。

三脚穴がサイドと底部の二箇所にある

つまり縦位置撮影においてでも三脚穴が使えるわけです。

ただし、底部の三脚穴の位置が疑問です。かなり端っこにあるのです。重量バランスなどを考慮したとしても、もっと中央寄りにあるべきな気がするのですが。なぜこの位置なのか、開発者に意図を尋ねたいですね。

防水・防塵・耐衝撃は、子供撮影にもGood

これも凄いですね。

防滴ではなくて防水ですよ!
水深15メートルまでの海中や、土砂降りの雨の中でも撮影可能。

さらに防塵なので砂やホコリにも強い。

耐衝撃も公式サイトによると以下の通り。

TG-860 Toughは、独自の二重構造を採用し、高さ2.1mの落下テストをクリアしています。また、ポケットに入れたまま座るなどの100kgの荷重がかかってもカメラとしての機能・性能を維持します。

これらアウトドア・カメラとして必須の性能は、実は赤ちゃんや子供などの撮影にも威力を発揮します。

子供が飲み物などをカメラにぶちまけても大丈夫。
レンズなどに触りまくっても大丈夫。
カメラを踏んだり、放り投げて遊んだりしても大丈夫。
ヨダレを垂らしても大丈夫(笑)。

使ってみて分かった欠点、要改善点

さて、上記の素晴らしい長所の数々ですが、短所もたくさんあります。

今日買ってきて、まだ室内で静止画10枚程度と動画を2本撮っただけですが、すでに欠点が見えてきました。

現時点で気付いた点を列挙してみます。

液晶の画質が悪い

スペック的には46万ドットの3.0型TFTカラー液晶ということでそんなに悪くは思えない。

ですが、実際に見てみると、まあ画質が荒いです。
解像度が低いせいで、メニュー画面の文字もカクカクで見づらい。
まるで10年前のデジカメを見ているかのような気分です。

高級コンデジのRX100や、最近の高解像のスマホ液晶などに慣れてしまった目には、このTG-860の液晶の荒さ・解像度の低さはかなり不満に思えてしまいます。

写真の画質が悪い

そもそもこのカメラに画質を求めるのは筋違いかもしれませんが、さすがにちょっと2015年に発売されたものとしてはかなりキツイ。

こちらも10年前のデジカメかと錯覚してしまいます。

値段も3万円前後することも考えると、「コスパの悪い画質」と言わざるを得ません。もちろんこの値段というのは画質以外のコストにかかってきているのは十分承知しておりますが、それでもやはりカメラですから画質はどうしても気になってしまいます。

個人的には正直この画質では15,000円くらいじゃないと納得できません。

具体的にどのように画質が悪いのか。
それはズバリ「油絵」状態で、細部が潰れまくったベタベタ塗り絵になってしまうことです。

やはりセンサーサイズの小ささのせいもありますが、高感度撮影は非常にキツイ。
レンズがワイド端の開放でもF3.5で暗い。そして室内撮影だとISO感度を上げざるをえず、ISO800くらいだといわゆる「塗り絵」「油絵」感がスゴイです。写真全体の色や細部などが破綻しまくっています。

フラッシュを使えば室内でもISO200くらいでも撮れて、油絵感は弱まります。
ですが、それはそれでやはり「フラッシュ使いました感」が顕著な写真になる。

あと、ISO800で広角開放でもシャッター速度は1/15秒とか。当然、被写体ブレには対応できず、動く子供はブレまくります。

動画でも同じで、室内撮影だと油絵っぽい感じになります。

しかしこのカメラはそもそもアウトドア用途であり、明るい屋外での使用が前提でしょうから、これは仕方ないといえば仕方ないですね。私は今日このカメラを買ってきたばかりで、室内でテスト撮影したのみのレビューですので、屋外でもまた撮ってみないとこのカメラの真価は分かりません。kakaku.comに投稿されたレビューや写真などを見る限り、昼間の屋外で撮影した画像はそんなに悪くないようです。

ちなみに意外にマクロは使えます。
1cmまで寄れるうえにわりと細かい解像を見せます。布の編み目・繊維まで映りました。

HS(ハイスピード)動画が実用的でない

秒間120コマや240コマで撮って、再生するとスローモーションのような動きになる動画が撮れます。メーカーの説明は以下の通り。

ハイビジョン画質で超高速ムービーを撮影できます。再生すると、一瞬の動きをスローモーションで見ることができます。
ムービーサイズは、120コマ/秒(640×480)、240コマ/秒(480×360)となります。ただし、スポーツカムモードの場合は、120コマ/秒(854×480)、240コマ/秒(640×360)

しかしこれが解像度が低すぎ、撮った映像を見てもあんまり感動しません。
上記引用文を見て分かるとおり、640×480だの480×360だの、まるで90年代後半の動画かと思うような低解像度の仕様です。

「ハイビジョン画質でムービー撮影できる」と書いてますが、「ハイビジョン画質」の定義って何なんですかね? 普通、現在の一般人の感覚から言えばフルHD(1920×1080)、あるいは最低でもHD(1280×720)じゃないと「ハイビジョン」とは思いませんよねぇ?

たとえば噴水や波しぶきなどに突っ込んでいく人を撮影する・・・といったシチュエーションの場合。この手のハイスピード撮影を使って、水滴の一粒一粒が止まったようにゆっくり動いて見えたりすると面白いですね。しかし実際に撮ってみると、解像度が低すぎてそもそも水滴なんか解像してません。ゴチャッと潰れていて、あまりきちんと見えないのです。

まあこれも明るい屋外で使えばもうちょっと良い結果になるとは思いますが、さすがにこの低い解像度では使いどころがよく分からない機能ですね。あくまでもオマケみたいなレベルであり、実用的ではありません。

高温には弱い

低温はマイナス10℃までOKだそうですが、高温は40度まで。
したがって真夏の炎天下やお風呂などでは厳しいですね。

さらに温泉はNGだということです。
おそらく温泉に含まれる化学成分がカメラに悪影響を及ぼすのでしょう。

専用USBケーブルが特殊品

スマホなどで汎用的に使われているUSBケーブルは使えません!

カメラ側のコネクタ端子がマルチコネクタという特殊形状であるためです。
これは残念な囲い込みですね。
なぜ汎用USBケーブルを使えるようにしなかったのか?

他のカメラやスマホで使っているケーブルを流用できないのでいちいち差し替えなければならず、地味にイライラします。

防水パッキンの寿命が短すぎる

TG-860の説明書を読んでいたら、サラッとすごいことが書いてありました。

防水性能を維持するために、1年に一度防水パッキンの交換をお勧めします。(防水パッキンの交換は有料になります)

ええええええええ!!!!!!!!!!!
1年に1回パッキンを交換しろだって!?
それ先に言ってよ!!!!
正直詐欺にあった気分・・・。

まあゴム類とかっていずれ劣化するものではありますが、1年に一度って、いくらなんでも劣化が速すぎやしないでしょうか?
防水をメインに謳ってるカメラで、その主要機能が1年で劣化するとか、もっとデカデカと告知して売るべきなのでは。
しかもこれって劣化してから交換するのでは遅い(カメラ内部が濡れて故障する)ので、早め早めに予防的に交換しなければいけないことになります。

有料って具体的にいくらなのか分かりませんが、メーカーに送るとかいろいろ面倒くさいし、交換時期はもうちょっと長くしてほしかったですねぇ・・・。せめて3年に一度とかさ。

実際、以前の機種(TG-1)ですが、わずか1年半の使用で防水パッキンが劣化して内部に水が浸入してしまった方がいます。下記引用のリンク先をご覧ください。

いやいやいや、いやいやいや!! それじゃあ、防水カメラじゃないじゃん!!

と思ったが、ぼくはそのことを知らなかったので、1年半の間同じパッキンを使っていた。

実は防水カメラとうたっているデジタルカメラは、一年間限定の防水カメラだった。

【出典】防水コンデジの罠!水没した防水カメラを復活させる方法&故障する原因 | JIBURi.com

さらに、

カメラに衝撃が加わると、防水性能を保てない場合があります。

うーん。
そりゃそうかもしれないけど、耐衝撃性能も売りのカメラでそれを言われると厳しいものがあるなぁ・・・。

結論

というわけで、個人的な結論をまとめると次の通りです。

  • 画質を重視する人は買うな!
  • カメラ初心者にもオススメできない
  • 防水で広角21mmという性能の意味と用途を理解できる人だけ買うべし

コンデジのサイズで防水・防塵・耐衝撃、さらに21mmスタート。他に競合製品がほぼ無いため、それらが必要な人はこのカメラを買うほかありません。このカメラにしか出来ないことがあります。(強いて言えばGoProなどのアクションカメラが競合か? しかしGoProと比べてしまうと、多くの面で比較にならないほどGoProの圧勝でしょうねぇ・・・)

逆に、「防水・防塵・耐衝撃で21mm」が必要でない人は、このカメラを買ってはいけません。画質は悲しくなるほど悪く、使い勝手もイマイチです。あと数千円足せば、超高画質のソニー RX100が買えますからそっちをお勧めします。

TG-860は非常に「特殊なカメラ」だと言っておくのが無難だと思います。明確な意図を持って、限定された用途・状況において使用した場合にのみ本領を発揮します。決して「日常で気軽に綺麗な写真を撮るカメラ」ではありません!

何事もメリットとデメリットを天秤にかけて考えないといけませんね。

オリンパスへの要望

ド素人のくせに僭越ながら、メーカー様への要望を。

  • センサーサイズを大きくして、高感度に強くしてほしい
  • センサーを大きくできないなら高価すぎるので安くすべき
  • レンズ開放をもっと明るくしてほしい
  • ズーム要らない。広角21mm単焦点が良い
  • ハイスピード動画の解像度をせめてHDにしてほしい。できればフルHD
  • 防水パッキンの寿命について隠さずに販売前に分かりやすく周知すべき
  • 汎用USBケーブルを使えるようにしてほしい

さらに使ってみて我慢できない欠点

任意のシャッタースピードや絞りを選べない。オートのみ。室内でフラッシュをオフにすると、たいていの場面でSSが1/30よりも遅くなります。手ブレや被写体ブレの原因となり、ブレブレ写真量産です。カメラの原理に詳しくない人だと、どうしてブレブレが多発するのか理解できずに苦しむことでしょう。AモードとSモードは欲しかったですねぇ。

あと、フラッシュが常にデフォルトでAUTOになってしまうのも難点。手動でフラッシュOFFに設定しても、モードダイヤルを切り替えたり、電源をオンオフしたりすると、またデフォルトのフラッシュAUTO状態に勝手に戻ってしまう。ハッキリ言って話になりません。自撮りモードが用意されてますが、そこでもフラッシュはAUTOで光っちゃう。超近距離の目の前でフラッシュ光るの、おかしくね? 目が悪くなりそう。

で、やっぱり最も腹が立つのが充電用のUSBケーブルが特殊な形の端子であること。スマホ用の充電ケーブルを共用できず、いちいち準備するのが面倒。旅行などにもいちいちこのカメラ専用の充電ケーブルを持っていかなければならず、荷物が増えてイライラ。

コメント

  1. 小生もTG-860の後継機 TG-870 を他の選択肢がないままに購入しました。
    まったくこちらでご意見を述べている通りです。
    カタログ記載がなく、購入してみてはじめて判った欠点も多く、ご指摘のとおりです。
    オリンパスの凋落の原因もわかりました。

タイトルとURLをコピーしました